2021/03/08

誕生日のピアノ

実家で母に勧められ「サワコの朝」を観た。
この日のゲストは西川悟平さんというピアニストの方だった。

「7本指のピアニスト」と画面の端に書いてある。
中学からピアノをはじめ、20代でジストニアという病気にかかり、ピアノを弾くことができなくなったのだという。
その病気はピアノを弾く時にだけ指が勝手に内側へ曲がり、自分で動かすことが出来なくなってしまう、というものだそう。

そういえば、以前何かのテレビ番組で
楽器を吹こうとすると勝手に口が楽器を避けてしまいその楽器を吹くことが出来なくなってしまった、という人を目にしたことがあった。

西川さんのお話のなかで、ドロボウに入られたお話がとても印象に残った。

片っ端から盗んでいこうと部屋を漁るドロボウの姿に
恐怖心よりも興味がわいてきた西川さんは
幼少期はどんなだったのか?
と尋ねたんだそう。
激怒したドロボウは
お前に何がわかるんだ!と、自分の生い立ちについて語りだした。
彼の身の上に起こった貧しさゆえの不公平や悲しくもどうにも出来ない現実に
西川さんはいつの間にか涙を流して彼らの話を聞いていたのだそう。
話し出してから8時間が経った明け方頃
ドロボウの一人が西川さんのコンサートのポスターを見つけ、ピアニストの彼に

自分は今日誕生日なんだ。一曲弾いてくれないか
と頼んだ。

西川さんは彼のために「Happy Birthday」をピアノで弾いた。

これまでの人生で、誰かに自分の誕生日を演奏して祝ってもらったのは初めてだ

心から喜んだドロボウは、盗もうとしていたものを全て置いて
鍵かけとけよ!
と言って出て行ったのだそうだ。

.....
可笑しくて切なく、ずっと心に留まっている。

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