2018/01/23

tuolla puolen


最近母が買ってきてくれるパン屋のパン。
トースターで焼くと焼きたての香りがする。
お店の老夫婦やパンを焼く息子さん(と母は思っている)は
いつもにこにこしているのだそう。
はっとするくらい美味しいパン
最近のハード系でもなく
日本らしい もち、ふわでもない
技でも流行でもないもの
きっと「気」みたいなものじゃないかな、と食べながらよく考えている。

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アキ・カウリスマキの「希望のかなた」を観た。
カウリスマキを教えてもらってからすっかり虜になり
近くのビデオ屋で置いてあるカウリスマキ作品を全部観て(といっても少ししかない)
小津作品にも少しずつ手を出している
過去をこれほど大切に、しかも懐かしいものというだけでなく扱える人はなかなかいないんじゃないかな。
色合いが本当に好きなんだけど
どう好きなのかと書くのがすごく難しい。
会社からの帰り道にある団地がカウリスマキ作品ぽいんだよな、とよく思う。

原題の直訳は 向こう らしい。
希望の向こう、かなた
カウリスマキは過去を好むと言いながらも
ずっと先の未来をみているのかも
そんな人間的なところに惹かれるのかもしれない

難民問題をテーマにした映画の二作目
前作より現実感が増している感じなんだろうか
前作を見た後よりずっとモヤモヤしたものが残って
次の日の朝までずっとそんなだった。
作品はとてもよかったのでそのモヤモヤではなく
今、空のかなた、どこかでまた
カーリドのように家を失っている人がいるという現実感がそう思わせたのかもしれない。
普段、自分は何がしたいんだろう、と
自分中心に世界をみているんだな、と客観的に知らされる
幸せなこと。でも、足元はずっと地続き。

その日の少し前からうちの犬(15歳)の体調がすこし悪くなったりして
自分ではどうにも出来ないようなことに直面した時の
自分の弱さを久しぶりに思い出した。

そんなとき、やっぱり届く手紙。
北国の親友から、冬が送られてきた。

いろんなものに助けられて生きている。
犬も少し落ち着いたみたいで心からほっとする。
人生初の一目惚れの相手。
最近足が滑るのか、踏ん張りが利かないのか
足をぺたんと開いて座っていて
体にはよくないのかもしれないけどかわいい。

2018/01/10

ぽっかり のこと

「雪月の形」展示風景
Photo by Shiho Sugimoto
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今回は写真家の友人に展覧会の写真を撮って頂きました。
その中で一番好きな写真。
空気まで撮ってもらった一枚。

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ときどき
朝起きると突然不安でいっぱいになっているときがある。
誰にもあることなんだろうか。
何をしても憂鬱で何もする気が起きず
ただ漠然と寂しく、心許ない気持ち。
ホルモンバランスの乱れなのかな。
音楽はどんなに優しいものでも耳に障るので
もうすべてのスイッチをオフにするように寝てしまう。
だいたいそれでよくなるのだけど今回は次の日もしつこくそのままだった。

今日は整骨院の日で、受付の方が誕生月だということでおめでとうを伝えたら
とても喜んでくれて、わたしにも嬉しい言葉をくださった。
それで、ぱーっと心の曇りがとれたのが分かった
白い光が見えるみたいな。
別の先生がひらひらと帰り際に手を振ってくれる。
あなたの存在を分かっている、好ましく思っているよ、という
そういうことをすごく欲してたということだったのか
ぽっかりとした空しさが、平にならされていく
でもそこには確かに穴があった痕跡がある
それを優しくなでながら、今日はあたかい気持ちで眠れそう。

ディヌ・リパッティのピアノ

いしいしんじさんの本を読んでたら気になったので。

2018/01/03

2018

 
花屋のお姉さんの作品
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2018年
明けましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願い致します。

2017年は前半はあまり何事もなくゆっくりと過ぎたけれど
後半に入ってからはずっと動いていたなぁ、という気がする
秋のアートイベントの準備やデザイン仕事、制作、修繕などをさせてもらったり
自分は良くも悪くも、まず考える癖があるので
手を動かすまでにとても時間がかかってしまう
それを余り良いことではないように思いながらずっと直せずにいたのだけど
年末年始に郷帰りしていた弟と朝方まで話した中で、それでもいいのだ、と思える話を聞いた
それは建築関係の話だったのだけど、
絵画やデザインの仕事とも共通する内容だった。
建築の現場はだいたいどの事務所も、アイデアをたくさん出した中で選ぶ、というのが主流なのだそう。
だけれど弟のやり方はまず頭で考え、文字にする作業に時間を割いた後、
一つのアイデアを導き出す、というやり方だった。
そのやり方を貫く辛さみたいなものに打ち当たり、諦めようとしたのだけど
同じような想いでやっている人の存在を知り、自分のやり方に自信を持てたのだそう。

私も同じようにアイデアスケッチなるものは
いつのまにか絵ではなく文字で埋まってゆくことが増えるようになった

生きれば生きるほど、疑問が増えてゆく
それを書き出しては整理し、自分に染み込ませてゆく
これからもそれは変わらないんだろうな

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年明け、ひとつ区切りをつけたことがあって
おかげで時間が増えた。
とても些細なことだけど
なかなかやめられなかったことなので今はすっきりとしている。

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年越しは人生初、映画館で。
大晦日にいそいそと電車に乗り込み
郷帰り中の弟と人生初?姉弟で映画を観た。
「ル・アーヴルの靴磨き」
35mmフィルム、場所は みなみ会舘
今年に入ってDVDを観たところだったけれど
みなみ会館で観られてよかった
終わったあと、お年玉を頂いた。年越し上映っていいな。
気づいたら年を越していた、という静かな年明けだった。
思った以上にお客さんは入っていたけれど
街も電車もとても静かでなんだか映画の続きのような夜だった。

それからはだらだらと正月を楽しんでいる。
録画していた紅白歌合戦を観たり(Perfumeがすごいところで唄ってた)
ドラマの再放送を観たり、漫画を読んだり
インプットな年明け。楽しい。

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年末年始、よく話題にのぼったのが「承認欲求」についてだった。

自己満足できるような2018年を送りたい。